虎ノ門で辛口の井筒監督が三ツ星の評価をしていた「ミリオンダラー・ベイビー」 。
「やさしい愛しか知らない人には理解できない」と言っていた意味が観終わって分かった。
クリント・イーストウッドがこんなに気弱な人物を演じたことが
かつてあっただろうか。
この映画を観て、また人間の尊厳について、考えさせられた。
このような状況下でなくても、ある種同じような境遇に立たせられることがある。
私の父もこのクリント・イーストウッドと同じ選択をしたことのある人間だ。
父が独り、家ですすり泣いていた日を思い出す。
どんなに悩み苦しんでも、正しい答えなど見つからないだろう。
ただ、クリント・イーストウッドがこの映画で導き出した答えは、
彼にしか分からない究極の愛の形だと思う。
女性ボクサーを演じたヒラリー・スワンクは今回も非常に卓越した
演技を見せ、映画と思わせないリアリティを感じさせる。
「彼女以外この役は考えられない」と井筒監督も言っていたが、
その言葉どおり、まさに適役といった印象だった。
ヒラリー・スワンクの出ている映画で
個人的におすすめなのは、
「ボーイズ・ドント・クライ」だ。
性同一性障害に悩む女性を見事に演じている。
この映画でも、彼女はオスカーに輝いている。